韓国政府、下半期経済展望発表… 今年成長率5→4.5%、物価上昇率3→4%
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任期1年半を残した李明博政府は、7%台のバラ色の高度成長をあきらめ、現実的な4%台の成長目標を選択した。その代わり、生活苦に苦しむ庶民のため、物価の安定に力を注ぐことにした。
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政府は30日、李明博大統領の主催により大統領府で開催された国民経済対策会議において、今年の経済成長率展望値を5%から4.5%に0.5%引き下げる一方、今年の物価上昇率展望値を3%から4%に大幅に引き上げる内容の『下半期経済政策方向』を確定した。5%の成長目標は、MBノミックスの最後の砦であったが、政府がこれを公式的に断念したことは、経済運用方向の一大転換を意味するものと専門家らは見ている。
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◆ 物価のために30坪江南マンション6000軒分を放棄
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パク・ジェワン企画財政部長官は、「成長率目標を0.5%ポイント引き下げたのは、物価安定に対する政府の断固たる意志のあらわれ」と語る。それでは、物価のためにあきらめなければならない0.5%の成長率とは、どれほどの規模なのだろうか?
昨年の韓国の国内総生産(GDP)は1,173兆ウォンであったので、GDPの0.5%は5兆8,650億ウォンに達する。100㎡(30坪)の江南マンション平均価格が9億8,700万ウォンであるから、5兆8,650億ウォンは江南マンション5,942世帯の価値に該当する。現代自動車のソナタ(2,340万ウォン)で換算すると、25万600台分になる。ソナタの昨年1年間のアメリカでの販売台数(19万6,623台)を越える規模だ。
カン・ソクフン誠信女子大教授は、「物価や雇用、内需を再生するということは、これまでの成長中心の政策から抜け出し、民生を重視するという政策転換を意味する」と語る。また、チェ・コンピル金融研究員選任諮問委員は、「庶民経済の苦痛に理解を示し、747のような外形中心の成長戦略から脱皮したという点では望ましい政策方向」と語った。
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◆747公約は夢に
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今回の経済政策方向議論の過程で、大統領府の一部では今年の初めに打ち出した5%の成長目標を堅守しようという意見もあったという。しかし、4%の物価を認めつつ目標成長率も現実的なものにする必要があるという意見が大勢を占め、成長率展望値を引き下げることにしたという。これによって、李大統領が執権初期に掲げた747公約(7%成長、4万ドル所得、7大強国跳躍)は夢物語で終わることになった。
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政府は来年の成長率も4%後半と予想しており、李明博大統領は5年間の任期中に7%台の成長を一度も達成することができないまま任期を終える可能性が大きい。
1人当り名目国民所得は、昨年2万759ドルを記録した。今年の4.5%成長と4%物価上昇に続いて来年4%台後半の経済成長、3%台前半の物価上昇という政府の予測の通りに進行するならば、来年の1人当り国民所得は2万4,215ドルとなり、当初の目標値である4万ドルの半分を少し越える程度の水準にとどまる見込みだ。GDPの規模も、昨年1兆70億ドルで世界15位にとどまり、たったの1年で7位圏内に順位を上げるのは難しい状況だ。
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政府が747公約を断念しなければならなくなったのは、当初の目標自体が実現の可能性が低かったうえに、世界金融危機という予想もしない大型の危機に見舞われ、今年に入ってからは物価不安が深刻化したためだ。
物価上昇率は今年に入って1月以降5ケ月連続4%台で推移している。4%を越えたのは、外国為替危機当時の1998年(5.8%)、世界金融危機直後の2008年(4.9%)ぐらいだ。
ソン・テユン延世大教授は、「無謀な成長目標を打ち出しながら推進した低金利基調によって物価上昇圧力が高まり、家計負債が増えるという副作用が生じた」と語る。
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◆通貨政策にも影響か
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成長より安定を選んだ政策基調は、韓国銀行の通貨政策にも影響を及ぼすものと予想される。政府は今回の対策で、「確固たる物価安定基盤のもとで総需要を安定的に管理する」と発表した。また、「市場の流動性を安定的に管理し、物価不安の構造化を遮断する」と強調している。総需要と流動性管理のためには、金利引き上げなどの緊縮的な措置が必要とみられる。
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2011.7.1 朝鮮日報