政府は6月2日地方選挙以後も金利引き上げなど出口戦略を急ぐことはせず、景気回復のための拡張的政策基調をそのまま維持する方針だ。ただし、世界金融危機以降、財政投入や減税などで、世界主要国中最大規模のGDPの6%(約60兆ウォン)を集中投入により弱体化した財政健全性の強化のため、より多くの税金を徴収する見込みだ。また、建設業・海運業など一部業種に対する構造調整が選挙前より強硬に推進されるものとみられる。
ユン・ジュンヒョン企画財政部長官は、選挙以後の経済政策方向に関して、「南ヨーロッパ財政不安のような対外変化の要素を考慮し、現在のマクロ政策基調を当分継続する」と明らかにした。
同ユン長官はまた、「南ヨーロッパ財政不安により各国の出口戦略が影響を受けるだろう」とコメントした。
これに関して、企画財政部関係者は、「南ヨーロッパ財政不安がすぐに韓国に直接的な影響を及ぼすことはないものの、ゆっくりそして長い期間をかけて波及していくものと予想されるため、積極的に対応する方針」とコメントしている。
大統領府関係者も、「南ヨーロッパ金融不安という重要な変数が登場したため、出口戦略を再検討しなければならない」とした。
これに伴い、政府は当分景気拡張基調を継続する見込みだ。
2008年の世界金融危機発生当時に講じられた中小企業貸出信用保証など非常対策は縮小していくが、本格的な出口戦略を意味する基準金利引上げは、南ヨーロッパ不安と国際金融市場が落ち着くまで慎重な態度を取るという立場だ。
ウォールストリートの専門家らは、もし南ヨーロッパ不安が拡大し、ヨーロッパの銀行で資金梗塞現象が発生すれば、韓国もヨーロッパからの資金離脱の余波で金融梗塞と景気鈍化に直面することもあり得ると警告している。このような事態に備えて、当分市中で豊富な資金を維持していくということが政府の基本方針だ。
これとともに、南ヨーロッパ不安の原因として指摘されている財政健全性の問題については手綱を引き締める計画だ。
企画財政部関係者は、「財政健全性を強化する方案が9月に国会に提出する税制改編案に含まれる」とコメントした。
今となっては有権者の顔色をうかがう必要もないので、果敢に追加的な税源を求めるという意向だ。満期になった税金減免制度をこれ以上延長せず、国税庁を動員してこれまで死角となっていた自営業者らの税金をさらに徴収しようというものだ。政府は2009年GDP比▲1.8%である財政赤字を、2013~2014年に均衡あるいは黒字に転換するという目標を立てている。
建設業と海運業の構造調整についても、ペースを上げる予定だ。
現在住宅景気低迷により資金難に陥る建設会社が増加するなか、債権銀行らは今月末までに施工能力上位300位圏内の建設会社の信用危険評価を終え、7月初頭に等級別名簿を発表する予定だ。深刻な資金難に直面する建設会社に「退出宣告」が下されるのだ。
李明博大統領も、最近建設業者らのモラルハザードを指摘しており、建設業界の構造調整は下半期により一層はずみをつけるものと予想される。この過程で、一部貯蓄銀行が退出する可能性もあると専門家たちは予想している。
しかし、国内景気が上昇傾向にあり、アジアや米国の景気も全般的に好調で、金利引き上げ以外の他の非常対策は縮小または廃止される予定だ。
雇用環境の好転によって、政府が財政を動員して雇用を創出した“希望勤労プロジェクト”も、予定通り上半期に終了する。不動産市場対策も、地方の未分譲アパート解消に対する補完対策を除いては他の景気浮揚政策を導入しないことになった。これに伴い、ソウル 江南3区の投機地域指定や住宅担保認定比率(LTV)、総負債償還比率(DTI)はそのまま維持される見込みだ。
朝鮮日報 2010.6.3